<健康になりたければ>

■堕落のわけ
さて、かくある経営コンサルタントが病院に入ってきた理由は、当時、医療費高騰の名のもとに、苛烈な医療費削減が行われていたからだ。20年以上前から、医療費が日本の財政を食い潰すという危機感を煽った一人の厚労省役人の発想に従い、国は無分別に医療費を削減してきた。同じころから米国の保険会社のコマーシャルをテレビでみかけることが多くなり、医療業界では国民皆保険の存続が危ぶまれる声をきくこともまた多くなっていた。即ち、国政の故に病院は商店へと堕落せざるを得なかったのである。

■過剰な医療
しかしながら、実際問題、この医療費高騰論にはほとんど根拠がなく、後に、過剰な医療費削減の実態が明らかとされるに至った。とはいえ、一度堕落してしまった医療業界は、商魂たくましく利益を追求する性癖を手放せなくなっていたのだ。この故に、本来、高齢者にはできるだけ自然な形で天寿を全うできる簡素な医療を提案すれば良いものを、過剰に手を加えて利益に還元しようとするわけである。死に至る自然な過程を病気に見立ててしまえば、どんな治療もまかり通ってしまう。皮肉なことに、国が医療費削減を進めた結果、医療費の無用な肥大化を招いてしまったのだ。それが証拠に、過剰な医療を施さない北欧に寝たきり老人はいない。寝たきりになるずっと以前に旅立てるからだ。寝たきり老人がいなければ、その分医療費も安く上がる。そもそも、歩けなくなった老人を無理やり歩かせる必要もなく、食べなくなった老人を無理やり食べさせる必要もないのだ。それらは皆、死に赴くのに必要な過程の一つに過ぎないのだから。

■稼ぎになる治療
整形外科学においては、手術適応という考え方がある。特定の疾患に対し、患者本人の年齢、職業、社会的背景などに応じて、手術の必要、不必要を判断するのだ。だが、大病院においてはこの手術適応が拡大する傾向が生じる。理由は簡単。手術を行った方が稼ぎになるからだ。かつて、米国で悪名高いロボトミー手術が盛んにおこなわれた経緯も、理由はそこにあった。
もとより、患者は誰もが皆、手術を受けたくて受けるわけではない。それ以外に治る見込みがないと医者に言われるから仕方なくするだけだ。本当は生活を正しさえすれば、時間をかけるだけで自然治癒力が働き、何もしなくて良い場合が多々あるにもかかわらずだ。けれども、それでは稼ぎにならないから、無用な治療が次々と施されるのである。

■AIの提案
つい最近、AIからなされた提言は大変興味深いものだった。
「健康になりたければ病院を減らせ」であったという。

この記事へのコメント

2019年02月20日 16:18
こんにちは。

日本は国民皆保険制度があり医療費の自己負担率も低いのは世界的に見て良い制度と思います。おっしゃる様に、その制度に甘えて過剰な医療(大量の投薬や手術)を患者から求めたり、医師から勧めたりするのは良くないですね。一部の患者と一部の病院や開業医の両方に問題があると考えられます。医療技術も益々に高度化して延命治療を行える様になって来ましたが、過剰な治療をせずに老衰で自宅で家族に見守られながら亡くなるのが理想だと考えられます。私は病気になれば良心的で患者本位の治療を心掛けている医療機関を選択したいと思います。そして自分の病状や治療方法については、自分でも調査や検討してセカンドオピニオンも行う様にしたいです。

医師と患者の呼び方について、医師に対しては(・・先生)と呼び、患者は医療を受ける側であり(・・さん)の呼び方が相応しいと思います。
2019年02月20日 18:24
いつもコメントありがとうございます。
何をもって過剰な医療とするかは難しいのですが、食べなくなったお年寄りに行う胃ろう造設等がこれに当てはまります。
実際には、人の死に行く過程の理解と認識が足りないことから患者本人、及び家族が過剰な医療を要望するケースが多いといえます。
家族が要望すれば、医者はそれに応えるしかありません。
この他、寝たきり老人の年金が生活の支えになている家族もいたりするので、何が何でも生かしておくことが要望されることもあります。

この記事へのトラックバック