<症例提示③>

24歳女性 事務職 

S)1週間前から背部痛あり、徐々に増悪してきたため当院受診。

O)胸椎部の棘突起直上に痛みがあり、圧痛並びに叩打痛を認めた。
上体前屈で疼痛増強。
第一肋間に圧痛を認めたが全身の圧痛は軽微。
腸腰筋に筋硬直を認めるが圧痛無し。
仕事で長時間座位を続ける。
体重51㎏。水分摂取は1~1.5ℓ。
カフェイン摂取は緑茶500ml以上(水筒に入れて毎日飲む)。
レ線所見にて胸椎に明らかな異常を認めず。
平背傾向。
腸腰筋を弛緩させるMedical Dynamic Stretchingを行うと、背部痛は直ちに三分の一程度に治まった。

A)慢性脱水症があり、長時間座位を継続することで腸腰筋、及び広背筋に弛緩不全を生じ、その結果生じた力学的負担が高じて胸椎レベルの棘上靭帯に炎症を来したもの。腸腰筋の弛緩不全は廃用性で、棘上靭帯にかかる力学的負担は牽引負荷だと考えられた。

P)水分摂取とカフェイン制限、及びMDSの励行を勧めた。投薬は無し。

初診から5日目。
第一肋間の圧痛及び背部痛は消失した。

本症例も、筋肉の弛緩不全や慢性脱水の概念を持たない医者が診れば、MRIを撮っても明らかな異常が認められず、ただ闇雲に消炎鎮痛剤が処方され、原因不明の背部痛として扱われていた可能性が高かったことだろう。

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