眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)

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<<   作成日時 : 2019/02/01 13:14   >>

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29歳女性 調理師
前医の紹介で当院受診。

S)五か月前より右上肢全体に痛みとしびれがあり、前医を受診するも症状は悪化傾向。
症状増悪時は箸が使えないほど右手に震えが生じる。
ADL: 鍋が持てない。箸の扱いに支障が出る。

O)初診時、右上肢に明らかな腱反射の異常や病的反射を認めず、上腕、及び前腕筋には圧痛と硬直あり。
肘関節伸展、手指伸展位で手指の震えを認めた。
第一肋間に著明な圧痛、同時に線維筋痛症の診断基準を満たす全身の著明な圧痛を認めた。
Thomsen テスト陽性。
体重75s。水分摂取量は一日2000ml以上で、水分摂取には気を付けている。
カフェインの摂取は、ほうじ茶が一杯程度。
仕事では重い鍋とPCのマウスを扱う。
前医での加療が奏功せず、不安感が強い。

A)右上腕骨外側上顆炎(テニス肘)と慢性脱水症
前腕伸展筋に圧痛と硬直が著明で、就労により、同部に疲労性の弛緩不全を生じ、上腕骨外側上顆にかかる力学的な牽引負荷が高じて発症したものと考えられた。
第一肋間の圧痛と全身の圧痛所見により、筋組織内脱水が背景にあると考えられたが、カフェイン摂取量は少量で水分摂取量は適量であるため、改めて他に何を飲んでいるかを問診した。
すると、大量のルイボスティーを摂取していることが判明し、ルイボスティーの利尿作用を疑った。

P)前腕筋の弛緩不全を解消するためのMedical Dynamic Stretchingを施行し、これを指導。
ルイボスティーをやめて、麦茶やスポーツドリンク、経口補水液の類へ飲料水を変更することと、就労時のテニス肘装具装着を勧めた。
投薬はテルネリン1錠眠前内服とアリナミンF朝食、夕食後1錠内服。消炎鎮痛剤は用いず、疼痛時は芍薬甘草湯を頓服として処方した。

初診時の段階で、MDSによって手指の震えは消失。痛みはわずかに軽減。
患者の受診後、ルイボスティーに利尿作用があることを確認。
六日後の再診時、疼痛は初診時の十分の一に激減。第一肋間、及び全身の圧痛は消失。
全身のだるさが残るとの訴えあり、テルネリンの副作用を考慮し、これを中止した。

かくのごとく、慢性脱水の痕跡を認めてから、患者の生活の仔細を問診することで、脱水の原因を特定できる場合がある。過去には、健康食品(その名も健康茶)の摂取が原因の症例もあった。
逆に、診る側に慢性脱水の知識がなければ、この患者の生活は改まることがなく、状態はより深刻になっていた可能性もある。この症例に限らず、慢性脱水に関する知識と、筋肉の弛緩不全を解消するテクニックが医者にあれば、整形外科の慢性疾患は、適切な処置によって、ほとんど薬物を用いることなく治癒せしめることができてしまう。その一方、この二つの概念を持たない医師の治療を受けた場合、患者は必要のない注射を打たれたり、鎮痛薬が長期投与されるなどした上、それでも難治性となってしまうのではないだろうか。

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