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zoom RSS <ISは武力で制圧できるのか>

<<   作成日時 : 2016/05/03 12:01   >>

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ISの残虐さが詳らかになるにつれ、彼らに対しては武力による殺戮、殲滅を支持する声が巷で高まっている。これまでのテロ集団とISとでは質が異なるから武力掃討もやむなしと誰もが思うようになっているのだろう。だが、それこそは時の気分に流されやすい大衆的発想でしかない。IS誕生の歴史を振り返れば、米英側が武力行使を繰り返すことでテロ集団もまた変質し、より凶暴になってきた過程を窺い知ることができる。それは用水路に潜むボウフラを殲滅しようと殺虫剤をまいた結果、よりタフで悪質な蚊が増殖して住民がしっぺ返しを食らう様によく似ているといえるだろう。

殺虫剤をまけば、そこに耐性を備えた害虫が新たに誕生するのが自然の摂理である。ISもまた同様に米英の武力行使に耐性を備えてきた集団なのだ。一方、米英の武力行使はその目的に反し、大勢の罪なき人々の生活を理不尽に奪ってきた。のみならず、最近では国境なき医師団の医療施設まで破壊したというから、その罪深さにおいてはISと同等であると言っても過言ではない。彼らとISとの違いは、単に用いる武器の違いでしかないのかもしれない。にもかかわらず、彼らに盲従してこれを支援するなど愚の骨頂である。殺虫剤をまいて蚊を退治しようと試みれば、その薬によって人間が暮らす環境そのものも汚染されかねない。ISを弱体化させるには、殺虫剤をまく発想を改め、そこにもとあったはずの調和を再構築する努力を積み重ねることが必要なのだ。

実際問題、これまでテロ集団に対して武力が問題を解決し得た確固たる実績があるだろうか。そもそも、IS誕生のイニシエーションは覇権国家米国による一連の武力行使ではなかっただろうか。何故ISが暴力によって自らの存在をアピールしてのけるか、理由は簡単だ。もともと彼ら自身がいわれなき暴力によって困窮を強いられた人々でもあるからだ。ゆえに、彼らは暴力によってしか自らの存在を誇示する術を知らないのである。そのような者たちを相手に武力による制圧が可能であるなどと夢想するのは、対話によってISの暴力を抑制できると夢想するよりもはるかに愚かなことだろう。
もとよりISへの対話は、それが奏功するからやるのではなく、そう努力することが人の道であるというに過ぎない。とはいえ、彼らが悪質だからという理由で人道をないがしろにすれば、ISの暴力を肯定してしまうことになるだろう。暴力によって自らをアピールするイデオロギーを肯定せしめるものこそ、天理と人道との別をわきまえぬ発想である。即ち、武力で制圧が可能だとする発想と、暴力によって自らの存在をアピールできるとする発想は同根なのだ。武力も対話も、それのみでは問題を解決し得ないという点で大差はないのである。ゆえに10年、20年、否、50年、100年を費やす地道な教育こそが、真に問題解決への道をつなぐものではないだろうか。

さて、マスコミから得られる情報はどれも断片的だが、ISは特定の軍事拠点をほとんど持たないテロ集団であり、一般庶民の暮らしの中に潜んでいる印象が強い。ゆえに米英が本気で攻撃を行っても殲滅できないわけである。このため、彼らの武力行使は民間人の大量虐殺としての趣が濃厚で、それによって理不尽に生活を奪われた罪なき人々が怨嗟を募らせることで新たなISの戦闘員になるという悪循環ができあがってしまっている。とすれば、米英に盲従してこれを支持、支援するのがいかに危険なことであるかは、言うまでもないだろう。よって、根治に時間を要する以上、当面は対症療法に徹して火の粉を被らぬような工夫をすべきである。即ち、安易な武力行使には支援も賛同もせぬこと。まいた種は、まいた者が刈り取る責任を負えば良いのである。世界中で暴虐の限りをつくしてきた米英の歴史の賜物がISなのであり、そういう認識を欠いたまま、単にISが悪質だから成敗せねばならぬとばかり、事情も知らぬ野次馬が浅薄な正義感でもってこれに対する武力行使を支持すれば、彼らの攻撃の矛先を自ら引き寄せる結果になるだけだろう。

かくして、今あるテロリストを武力で退治していくのはシジフォスの苦となるのが必然だが、幸いにしてアフガニスタンにおける平均寿命は男女ともに50歳。15〜20歳くらいから戦闘員になると仮定して、テロリストが実働できるのは長くてせいぜい25〜30年である。ということは、現在のテロリストは四半世紀もたてば、放っておいても大方死亡するということだ。もとより人間の致死率は100パーセント。善人も悪人も分け隔てなく数十年で死せる定めにある。即ち、テロリストを壊滅することに血道を上げるより、テロリストを生み出すイデオロギーを絶ち、それを育む環境を改善することの方がはるかに効率よく問題を解決するはずである。米英のごとき武力行使は憎しみの連鎖を生みだし、下手をすると今後100年、200年と飽くなき殺戮を繰り返してしまう可能性もある。そうなれば憎しみの炎はいずれ世界中に花開き、テロリストが核兵器を手に入れるチャンスもまた広がってしまうに違いない。一見遠回りに見えても、やはり地道な教化、啓蒙こそが、より確実な解決をもたらすのではないだろうか。

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