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zoom RSS <エビデンスのない話H下肢の疾患>

<<   作成日時 : 2012/02/26 17:05   >>

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小児における股関節疾患の原因
股関節に軸圧を加えるキー・マッスルは、腸腰筋以外にも大中小の臀筋や、梨状筋、大腿直筋などがある。それらの弛緩不全が幼少期の骨格に作用することで生じる疾患としては、単純性股関節炎やペルテス病を挙げることができるかもしれない。ペルテス病は比較的活発な男児に多いことが知られているが、それが示唆する通り、股関節周囲筋が、高所から飛び降りるなどの小外傷や疲労の蓄積による過緊張性の弛緩不全を呈していると考えられる。ゆえに、それは関節にかかる軸圧が高じて大腿骨頭に阻血性壊死を生ぜしめたことを原因とする疾患ではないだろうか。無論、その弛緩不全は、動作時の負荷をも増強させるので、骨頭の成長軟骨に加わる負担が大きければ、大腿骨頭すべり症を来たす誘因ともなるだろう。

成人における股関節疾患の原因と治療
そしてもし、本当に股関節周囲筋の弛緩不全が小児でペルテス病を引き起こすのであれば、それは成人で生じる特発性大腿骨頭壊死症の原因と考えることさえできるかも知れない。さすれば、それらの前駆症状に対しては、既に述べた臼蓋形成不全症や変形性股関節症と同じく、股関節周囲筋の弛緩誘導が奏功するはずだ。それは坐骨神経痛を来たす梨状筋症候群にしても同じことである。多くの場合、股関節周囲筋の弛緩誘導には仰臥位で股関節をぶらぶらと回旋させる自動運動が奏功し、それはまた腸腰筋の弛緩誘導としても効果が認められる。このほか、椅子に浅く腰掛けて足を床に固定し、股関節をぶらぶらと内外転させる自動運動にも、股関節痛や腰臀部痛に対する治療効果がある。

膝関節疾患の原因と治療
一方、膝関節の疾患は、既に論じたように、その大部分が大腿四頭筋をキー・マッスルとして生じる。たとえば、オスグッド病や、たな障害、変形性膝関節症などである。このうち変形性膝関節症については、膝関節に大きな軸圧を与える成分として、大腿屈筋群の存在も見逃すことはできまい。
この他にみられる膝関節周囲の慢性疾患として、腸脛靱帯炎なら大腿筋膜張筋がキー・マッスルだろうし、鵞足炎なら鵞足成分を担う筋肉群がそれだろう。また、ベーカー嚢腫は、手関節におけるガングリオンと同様に、膝関節にかかる軸圧が高じて生じた正常滑膜嚢の成れの果てだと考えられるため、その治療は嚢腫の摘出よりはキー・マッスルの弛緩誘導だといえるだろう。その際、大腿側のみならず、下腿側の筋肉群にも弛緩誘導が必要となることには注意が必要だ。

足底腱膜炎の原因と治療
下腿には、膝関節と足関節をまたぐ二関節筋の他、前腕と同様の多関節筋があり、疾患ごとに複数のキー・マッスルを有している。踵の痛みであれば、アキレス腱付着部炎や足底腱膜炎が診断として挙げられるが、それらを発症する背景には下腿後面の筋肉群の弛緩不全があると考えられるのだ。
実際、「足底」腱膜炎といわれながら、後脛骨筋や腓骨筋など、下腿筋の弛緩誘導が症状を緩和させる。それらは足底に停止部を持つがゆえに、足底のアーチに関わる成分である一方、足底腱膜の牽引成分でもあるわけだ。加えて、腓骨筋、後脛骨筋の弛緩不全は、各々腓骨筋腱炎、有痛性外脛骨症の原因ともいえるだろう。
よって、レ線上確認できる外脛骨や踵骨の骨棘の存在が痛みの原因ではなく、それらを生ぜしめた筋肉の弛緩不全こそが症状の原因であるので、レ線上の異常所見に対しては全く手術の必要はない。インソールの交換などによるアーチサポートに加え、下腿筋群と足底筋群のコントロールを行えば、大抵の場合、足底周囲の痛みは治癒してしまうのである。

骨端症やスポーツ障害の原因
ちなみに、後脛骨筋は長腓骨筋と並んで、開張足のキー・マッスルの一つでもある。ハイヒールによる足関節底屈位を長時間続けると、荷重負荷によって足部前方の横アーチを構成する靭帯成分を引き伸ばすだけでなく、後脛骨筋と長腓骨筋に低緊張性の弛緩不全を生ぜしめる。その結果、踵骨は外反し、両筋の機能不全から開張足を来たすと考えられるのだ。頚椎や腰椎において生じた生理的前彎の消失と同様の機序がそこにあるに違いない。また、アキレス腱が断裂を来たす背景として、腓腹筋、ヒラメ筋の慢性弛緩不全があるのはいうまでもない。それらの牽引負荷はまた、小児においてはオスグッド病と同様の機序でセーバー病(踵骨骨端症)を生ぜしめると考えられる。さらに、ここに名前の挙がったヒラメ筋や後脛骨筋は、長趾屈筋とともに、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)のキー・マッスルでもある。

足根管症候群の原因
この他、前脛骨部の筋肉群の弛緩不全が、足背の滑膜嚢に腫大を生ぜしめる場合もある。おそらく、多関節筋であるそれらの牽引力が、足根骨周囲に軸圧として加わることで、小関節嚢に炎症を生ぜしめるのだろう。足背に生じる粘液嚢腫もまた、手関節に生じるガングリオンと同様、正常滑膜嚢の成れの果てだと考えられるわけだ。また、足根管症候群にしても、手根管症候群と同様、屈筋支帯に対する牽引成分となる何らかのキー・マッスルがあるに違いない。そして、おそらくそれは後脛骨筋ではないだろうか。後脛骨筋腱は内果部で、その走行を大きく彎曲させているために、後脛骨筋の弛緩不全が間接的に屈筋支帯の牽引成分として働くと推論できるからだ。ひょっとすると、深横中足靭帯による神経の絞扼が原因といわれるモートン病も、本当は母趾内転筋横頭や骨間筋などに生じた弛緩不全こそが、その本質的な原因だといえるかも知れない。

休息だけでは良くならない
いずれにせよ、これらの疾患には、一括して免荷状態で行う足関節や足趾での各種自動ないし他動運動が奏功する。なぜなら、それらの運動には下腿筋群や足底筋群のMDSとしての作用があるからだ。そして、これら多くの症例で単なる休息だけでは問題の解決をもたらすことがないために、整形外科医自ら代替医療に活躍の場を提供している場合があるともいえる。

外反母趾の原因と治療
最後に、外反母趾を考えてみよう。足底は、手掌と相関して考えることができる。手掌においては、母指内転位を持続させることで生じる内転筋拘縮の存在が知られているが、同じことが足趾に起こったものが外反母趾だといえるだろう。即ち、母趾外反は、その内転筋における弛緩不全の結果と考えられるわけだ。ゆえに、きっかけは窮屈な靴の使用かもしれないが、その後、靴を変えても症状が好転しないのは弛緩不全が持続するからに他なるまい。よって、直接的には母趾内転筋の弛緩誘導が最も奏功するであろうが、他の下肢疾患と同様に、本症も複数のキー・マッスルを有していると考えられる。外反母趾は開張足に随伴する場合が多く、外反した踵骨のもとでは、それを起始部とする母趾外転筋の外転作用に支障を来たしていると考えられるため、その治療には足底筋群のみならず、下腿筋群の弛緩誘導も必要となるに違いない。

http://64172503.at.webry.info/201202/article_11.html

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