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zoom RSS <ゴルフで球を飛ばす筋肉―その2>

<<   作成日時 : 2011/12/02 13:37   >>

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腸腰筋を鍛えるにはどうすれば良いのか。実のところ、作用がわかっている筋肉に刺激を加えることそれ自体はさほど難しくない。腿上げの筋肉なのだから、単純に腿上げするだけでも良いし、腿上げに負荷のかかる工夫をすれば済む話だ。その昔、スポ根という言葉がまだご健在だった時分には、鉄下駄を履いてトレーニングに励む者も多かったが、まさに鉄下駄は腸腰筋に負荷を与える格好の道具といえるだろう。
鉄下駄でなくとも、足首周りにウェイトバンドを巻いて歩くなり走るなりのエクササイズを行えば、同様の効果は得られることになる。実際、肥満体型のゴルファーが何故球を飛ばせるかといえば、彼らは下肢の自重が腸腰筋に負荷をかける形で無意識にトレーニングを強いられているからだろう。ゆえに、体重があるから球を飛ばせるというのは間違いで、強靭な腸腰筋があるから、球を飛ばせるというだけの話だ。
このほかに腸腰筋を鍛えるあるふれた方法としては、スクワットが挙げられる。スクワットにおける立ち上がり動作時には、腸腰筋に遠心性収縮が強いられるので、そこに高負荷をかけることができるというわけだ。

このように、工夫次第でいくらでも腸腰筋に刺激を与えることはできるのだが、継続的なトレーニングを阻む最大の障害は怪我である。実は、怪我なく腸腰筋を鍛えることが一番難しいのだ。というのも、腸腰筋は、その大部分が骨盤内に隠れていて体表から触ることが難しく、かろうじて鼠蹊部周辺、即ち胴体と大腿の境付近で触ることができる程度であるため、そこに蓄積された疲労が見逃されやすい上、疲労が見つかっても、マッサージ等の改善処置を施せる部分が限られるからだ。“鍛える”というのは、負荷を与えることと、そこから生じる疲労を取り除いて旺盛な回復力を促すことの二本立てで初めて達成される。刃金を鍛えるのと同じで、熱い火にくべるだけでは駄目なのだが、腸腰筋は、負荷を与えるのは簡単でも、そこに潜んだ疲労を見出し、これを取り除く作業が難しい筋肉なのである。

筋肉は、疲労が蓄積されると収縮弛緩するモーター部分の弾性が損なわれ、尺が短くなろうとする。つまり、弛緩不全に陥るわけだ。ところが、骨格への付着部となる起始、停止部分は動かないので、力学的には起始部と停止部を牽引する力として持続的に作用することとなる。その張力は付着部近傍に炎症を生ぜしめ、痛みの原因をつくりだす。また、基本的に筋肉は関節をまたいで骨格に付着しているため、当該筋の疲労は起始停止部への牽引力のみならず、関節部分に加わる軸圧も生ぜしめることになるので、間に存在する関節にかかる軸圧が高くなってしまい、変形性関節症を引き起こす原因ともなり得るのだ。

腸腰筋に疲労が蓄積すると、股関節にかかる負担が大きくなってしまうほか、腰椎とその椎間板にかかる軸圧も高くなってしまうので、椎間板ヘルニアを来たし易くなる。無論、腰椎分離症やすべり症の起こるカラクリも同じであり、これが、飛ばし屋に腰痛もちが多くなる所以である。腸腰筋が強靭となればなるほど、そのメンテナンスに失敗すれば大きな代償を払わざるを得なくなるというわけだ。これはつまり、競技能力が高くなれば、その分腰痛を患う可能性が高くなってしまうということでもある。

さて、腸腰筋に疲労を蓄積させないためには、どのような方法があるだろうか。一つには、負荷刺激後、疲労回復のための休養を一定期間とることが推奨される。要するに、毎日は激しいトレーニングをしないということ。次に、トレーニング後のストレッチとクールダウンである。スタティック・ストレッチには股関節伸展位をとることができればよいので、うつ伏せになり、股関節軽度外転位で、介助者の協力のもと、他動的に股関節伸展位をとると効果的だ。このほか、仰臥位で鼠蹊部周囲をマッサージするのも良いだろう。
干渉波治療器があれば、鼠蹊部を挟み込む形で身体の前後に導子を当て、マッサージ効果や消炎鎮痛効果の得られる周波数帯で電気を流すのも良い。サプリメントならビタミンB1が効果的だ。
もっとも推奨されるのは、仰臥位で両下肢を軽く開き、膝関節伸展位で股関節をぶらぶらと小さな動きで内旋を繰り返すことである。アシスティブでもアクティブでも良いが、できるだけアクティブに行う方が良い。
力まずに1ヘルツ程度のリズムを保ち、50〜100回程度を朝夕行うというやり方ではじめ、慣れてくれば200〜300回程度毎日やると良いだろう。アスリートなら300〜400回を朝夕、並びに運動直後に行うと効果的である。
腸腰筋には、わずかながら股関節の外旋作用があり、股関節内旋時に収縮を抑制する信号が腸腰筋に伝達されるので、回旋の動き(内旋を意識して外旋時に脱力する)がダイナミック・ストレッチの役割を果たして腸腰筋をリラックスさせることになるのだ。

結局、今ある肉体のキャパシティーを超えてトレーニングしないということが原則である。腸腰筋に疲労が蓄積されているかどうかは、鼠蹊部の圧痛の有無から判断すると良いだろう。健全な筋肉は圧迫によって痛みを生じないし、餅を押さえるがごとくやわらかいが、疲労の蓄積された筋肉は、硬く、圧痛を伴う。
こうして腸腰筋の疲労度をチェックしつつ、負荷刺激と弛緩を組み合わせてはじめて、腸腰筋の鍛錬を達成できるのだ。
石川遼選手は最近腰痛を患っているときくが、この記事が彼のもとに届くことを心から祈る次第である。

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