眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)

アクセスカウンタ

zoom RSS <ヨネックスオープンジャパン2011観戦記その2>

<<   作成日時 : 2011/09/29 12:28   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

小生が座っていたのは南側S席の最後列だったが、小生を真ん中に男三人、それぞれが一人で観戦に訪れていた。全く物好きである。右隣に居合わせた御仁は小生と同年代で、どちらからということもなく言葉を交わしはじめた。この御仁は富山からいらっしゃったとのことで、何と20年も前から今大会を観戦に訪れ、今年で17回目なのだそうだ。バド歴は30年。小生は20年余りとどちらもそれなりに濃いバドフリークである。この方のおかげで、この日一日寡黙に過ごすことを免れ、互いの感想を吐露しあうことができた。実はこの方のお目当ても、男子シングルス、リー・チョンウェイ対リン・ダン戦だったのだそうで、リン・ダンを観ることができず、残念がっておられた。チェン・ロン、果たしてどこまで魅せてくれるのか。期待と不安で観客が見守る中、ついに男子シングルスが始まった。

序盤、リー選手はいつものペースで試合を運んでいるように見えたが、リー選手の決め球が決まらない。チェン・ロンのレシーブが思いのほか良いのだ。180センチを超える身長に長い手足、下半身は無骨な筋肉質で、そのプレースタイルは先輩リン・ダンを模倣しているかのようだった。何気ないフットワークの癖や、バック前からのロブの打ち出し方がよく似ている。リン・ダンに比べ、フットワークには幾分ぎこちなさがあるものの、守備範囲については長い手足がそれを補っているように見受けられた。特筆すべきは、ボディー周りの球捌きである。通常、手足が長いと、身体に近い場所にくる球の扱いにぎこちなさが生じるものだが、彼は違っていた。ボディー周りも実に巧みだ。このため、リーのスマッシュがなかなか決まらない。両者ともにイージーミスがほとんどなく、スマッシュをレシーブした返球はホワイトベルトすれすれに返っていく。しかしながら、第一ゲームは予想外の大差でチェン・ロンがとってしまった。序盤、中盤と、チェン・ロンの積極的な攻めが空回りせずにレシーブ力とかみ合った結果といえた。ただ、リー選手の居た北側サイドは、風向きのゆえか、はたまた照明の影響なのか、他の選手もやりにくそうにしている感じだった。実際、セカンドセットでは、観衆の心配を吹き飛ばすかのように、今度はリー選手が大差をつけてとりかえしていた。やはりファイナルになりやすいコートなのだろう。

それにしても、男子のジャンピングスマッシュは実に豪快だ。鍛え抜かれた肉体が、そのもてるポテンシャルをフルに生かしたそれは、観ている者に爽快感を与えずにはおかない。もとよりトッププレーヤーと、我々の草バドミントンとでは比ぶべくもないが、彼らの場合、インパクトを迎える直前に繊細な独特の間合いがあり、観る者に高度な“気”の集中を感じさせる。そして小気味良い打球音とともに営まれる夢のようなラリー。それらはテレビでは決して伝わることがないライブならではの醍醐味だ。彼らトッププレーヤー同士の場合、どんなに速いスマッシュも、レシーバーにとって球筋が想定内ならば簡単には決まらない。そのため、相手の意表を突くべく様々に工夫を凝らし、素早い動きから緩い球を打ったり、ゆったりとした動きから突然素早く球を打ち出したりと、打ち出すリズムも動きのテンポも実に多彩だ。今更ながら、バドミントンは相手を幻惑する競技なのだと気付かされた。

いよいよファイナルゲーム。序盤はリー選手が主導権を握っているかのようで、不利なコートに居ながら11対8で折り返した。これで安泰かと思いきや、チェンジ・エンド後の最初のポイントをチェン・ロンが奪って食らいついて行く。両者ともにスマッシュが決定打とならず、ボディーアタックも決まらない。互いに譲らぬシーソーゲームとなったが、徐々にライン際に微妙な判定の要求される場面が多くなってきた。これはやばい。この展開は最終的にラインジャッジ一つで勝敗が決まってしまうパターンだからだ。
19対19からの攻防、リー選手の方に最初のチャンスが訪れた。だが、ネット前を取ることができたにもかかわらず、カウンターを食らってしまい、最終的にマッチポイントはチェン・ロンが握ることに。
そこから、リーにとってはまさに瀬戸際の攻防が始まった。誰もが息をのむラリー。そしてついにそのときは訪れた。
対戦選手のみならず、観る者さえも意表をつかれるクロススマッシュがリー選手から放たれたのだ。
それはサイドライン際目一杯に突き刺さった・・・かに見えた。
誰もがこれでセッティングだと思ったその瞬間、判定は無情にもアウト。
場内は騒然としたが、勝利の決まったチェン・ロンはラケットを投げ捨てて中国チームに向かって走り出し、シャツを脱いで大はしゃぎだ。

判定の瞬間、小生は思わず「えーっ」と不満の声をあげていた。隣で観ていた富山の御仁も、消化不良を連呼しておられた。実際、客席からはインに見えた。納得できない観客の多くは、大型ビジョンにスロー再生が映し出されるのを今かいまかと待ち望んだが、とうとうそれが映し出されることはなかった。このあたり、いかにも事を荒立てたがらぬ日本人らしい配慮にも思えたが、おかげで消化不良を引きずることになってしまった。映像が出ないのは、事実が判定と異なるがゆえに出せないからではないかと勘繰られたためだ。後で録画しておいたBSの放送を確認しても、微妙な判定ながら、やはりインに見える。ミスジャッジかどうかは定かでないが、いかにも承服できない後味の悪さばかりが残った試合だった。やはり、勝敗を左右する微妙な場面では、ビデオ判定を導入すべきだと強く思われたという次第。
後味が悪いといえば、去年の全英、リー選手が田児選手を破って優勝した最後の一球は、明らかなミスジャッジであったことが記憶に新しい。あのときの幸運が、バランスをとるために悪運となって、この日のリーに還ってきてしまったかのようだった。

それにしても、リン・ダンもそうだが、勝ったときの中国男子選手のはしゃぎ方というのは、どうにも受け容れがたいものがある。敗者を思いやるべき勝者としての品格に欠けるような印象を受けるからだ。個人的には、リン・ダンこそ、バドミントン史上ナンバーワンプレーヤーだと思ってはいるが、手放しで彼を好きになれない理由がそこにある。
国民性の違いといえばそれまでなのかも知れないが、この後、女子シングルス戦でも、文化の違いを実感することとなるのだった。

続く

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い 面白い
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
<ヨネックスオープンジャパン2011観戦記その2> 眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる